会長声明・意見

2019年度(令和元年度)司法試験に厳正な合格判定を求める会長声明

2019(令和元年)年7月30日
山口県弁護士会 会長 野村雅之

1、当会は、2017年(平成29年)7月25日、2018(平成30年)7月24日、それぞれ会長声明をもって法曹志願者の減少を指摘するとともに、司法試験合格者数の目安(法曹養成制度制度改革推進会議の中間とりまとめにおいて示されたところによると1500人程度)にとらわれることなく司法試験合格判定が厳正になされるよう求めた。

2、ここ数年司法試験出願者数の減少が続いている。
  過去3年間を比べてみただけでも、2017年度(平成29年度)の司法試験出願者数は6716人であり、司法試験合格者数は1543人であった。2018年度(平成30年度)の司法試験出願者数は5811人であり、2017年度(平成29年度)と比べて905人が減少したが、司法試験合格者数は1525人であって1500人以上の合格者数が維持された。
 そして、2019年度(令和元年度)の司法試験出願者数は4930人であって、2018年度(平成30年度)の5811人と比べて、さらに881人が減少した。
 このように、法曹志願者が急減している状況に歯止めがかかっていない。

3、上述のとおり法曹養成制度制度改革推進会議の中間とりまとめは司法試験合格者数を1500人程度とした。ただ、同時に、この合格者数の目安は「輩出される法曹の質の確保を考慮せずに達成されるべきものでない」とも決定したものである。司法は国民の権利義務や社会正義に深く関わるものであり、法曹は、その司法を担うものであるから、上記のとりまとめにおいても「法曹の質の確保」が重視されていることは、当然のことである。

4、法曹志願者が急減している現状において、仮に1500人程度の合格者数にこだわって合格ラインが引き下げられるようなことがあれば、司法試験制度に期待される選抜機能が大きく損なわれ、合格者の質を制度的に担保できないことが危惧される。司法試験の合格判定にあたっては、合格者数の確保のみが優先されるべきではなく、法曹の質の維持・向上という必須の要請を踏まえ、より一層厳正に行われなければならないのである。
 従って、当会は、2019年度(令和元年度)司法試験の合格判定にあたっても、厳正な判定が行われることを求める。
以上