会長あいさつ・役員紹介

2023年度(令和5年度) 山口県弁護士会会長よりご挨拶

山口県弁護士会会長 松田 訓明
山口県弁護士会ホームページにお越しいただき、ありがとうございます。
2023年度(令和5年度)山口県弁護士会会長の松田訓明と申します。

1 はじめに

 新型コロナウィルス感染症は、国民生活に多大な影響をもたらしました。弁護士会の活動も例外ではありません。初期段階ではワクチン開発もなされておらず、マスクや消毒液といった対策のための製品も不足し、何より、どのようなウィルスなのかが分からない状態であったため、裁判所における法廷の期日が入らなかったり、法律相談の実施ができなかったりといった有様でした。その後も、感染の波が訪れては下火になるといったことの繰り返しです。今年に入って漸くウィズコロナの方向に舵を切っていますが、まだまだ予断を許しません。
 他方、弁護士会における会議等の多くがウェブ会議に切り替わったために、全国規模の会議やシンポジウムの出席が容易になり、多彩な試みがなされるようになったことなどこれまでの業務形態の見直しにつながったという側面もあります。
 弁護士や弁護士会に対して県民の皆様からよく頂くご指摘としては、「敷居が高い、こんなことでも相談していいのか判断がつかない、費用的にどのくらい必要になるのか予測ができない」といったことが多く挙げられます。しかし、法律相談センターの委員会での活動を通して得られた実感としては、相談者が抱えている問題の多くは特殊ケースではなく、弁護士が関与してすぐに解決できる問題もあれば、そのまま放置すればするほど解決が困難になってしまうといった問題も多いように思います。敷居の高さにしても、昔のように弁護士数が少なく、ともかく効率的に事件処理を行う必要があった時代とは大きく変わっています。費用的な問題も、相談者の資力に応じて無料で相談が受けられるような仕組みが導入されており、事件処理の費用も事件の内容によって合理的な範囲で設定されるように配慮されています。
 法律的な問題で悩んだり、先送りにしたりしても解決には結び付きません。まずはお気軽に当会にご連絡ください。

 

2 今年度の課題

(1) 宇部拘置支所収容停止問題
 令和4年9月に宇部拘置支所という刑事施設について弁護士会には何の連絡もなく、いきなり収容を停止するという連絡がありました。
 拘置所というのは、起訴された被告人が裁判を受ける間そこに収容されるという施設で、宇部市にある拘置支所が収容停止の対象です。それまで宇部で収容されて裁判を受けていた者は、下関の拘置支所に収容するという方針とのことです。
 宇部の裁判所で裁判を受ける刑事被告人については、原則として宇部地区の弁護士が弁護人として選任されることになりますが、収容停止ということになれば、下関の拘置支所まで片道1時間かけて出向かないと裁判のための打合せもできないことになります。被告人本人、被告人の親族や関係者にも新たな負担が生じますし、裁判が終了した後の生活を立て直して再犯を防止するという活動にも支障が生じます。
 宇部拘置支所は築50年の建物で老朽化が進んでおり、収容人数も減少傾向にあるということも収容停止の理由として挙げられていますが、一番重要なのは刑事裁判を受ける被告人の適切な弁護を受ける権利を確保することで、施設の規模を縮小しても新たな拘置支所に建て替えたり、耐震基準を充たすような大規模修繕をしたりすることが正しい解決方法です。
 全国的にも拘置所の廃止、収容停止といった事例が出てきており、当会としては今後も各方面に働きかけを継続していきます。

(2) 中国地方弁護士大会の開催
 弁護士の内部的なイベントではありますが、令和5年10月27日に山口市で中国5県の弁護士が集まって大会を開く予定です。午前中にはシンポジウムが、午後には各県の弁護士会から提出された議題について討議する大会が行われます。中国地方の大会では全国的に見ても活発な議論が行われることで定評があります。一般の方もシンポジウムには参加できますので、弁護士が今どのような問題意識を持っているかについて興味ある方はぜひお越しください。

3 山口県弁護士会の組織

 山口県弁護士会は山口県内に法律事務所を設置する弁護士・弁護士法人により構成されており、弁護士数は約170名が所属しています。他の多くの都道府県では県庁所在地や人口が多い市に弁護士が集中していますが、山口県では人口も弁護士も各地に分散しています。そのため、自宅や勤務先から比較的近い場所で相談が受けられるというメリットもあります(弁護士名簿はこちらをご覧ください。)。

4 一般の法律相談について

 平穏に生活していても、突然法律問題に直面することは珍しくありません。交通事故は加害者にも被害者にもなりうる典型例でしょう。親族の誰かが亡くなったとなれば相続に関して遺産分割や相続放棄といった手続が問題になります。別に事業をしていなくても不動産や車両の売買には契約書がつきものですし、離婚に関する手続についても財産分与・養育費請求・婚姻費用・年金分割と多岐にわたります。 
 当会では法律相談センターを山口、岩国、周南、宇部、下関、萩・長門の各地区に設置し、センターでの法律相談を実施しています。詳しくは、こちらをご覧下さい。
 また、民事・家事当番弁護士相談制度により、登録弁護士の事務所で可能な限り早期の相談予約を入れて対応する体制を取っています。

5 各専門分野の相談窓口について

(1) 高齢者・障がい者のための無料相談窓口
 高齢者・障がい者問題に取り組む経験豊富な弁護士がご相談をお受けします。高齢者・障がい者に関するご相談であれば、ご本人でなくとも介護等に関係するスタッフの方々でもご相談いただけます。詳しくは、こちらをご覧下さい。

(2) 生活困窮者のための相談窓口「ヘルプ」
 生活に困窮し、法的な助力を必要とされる方のための相談窓口「ヘルプ」を設置しています。生活保護、年金、労働問題など様々な問題のご相談に担当弁護士が応じます。詳しくは、こちらをご覧下さい。

(3) 中小事業者のための相談窓口「ひまわりほっとダイヤル」
 中小企業・個人事業者の方が、弁護士に電話で相談し、必要に応じ面談相談の予約(初回面談30分無料)ができる相談窓口です。事業に関する様々なご相談にお答えします。詳しくは、こちらをご覧下さい。

(4) 犯罪被害者相談(犯罪被害者のための相談窓口)
 犯罪被害者支援センター、民事暴力被害者救済センター所属の弁護士を中心に犯罪被害者の方とそのご家族、民事介入暴力に遭われた方のご相談をお受けしています。詳しくは、こちらをご覧下さい。


6 刑事弁護事件と少年事件の弁護・付添い等について

 憲法の保障する弁護人依頼権を実現するため、当弁護士会は逮捕・勾留された方やご家族の求めに応じて毎日刑事当番弁護士・少年当番弁護士を待機させており、無料で警察署等に派遣し、刑事手続と当面の対処に関するアドバイス等を行えるようにしています。詳しくは、こちらをご覧下さい。


7 法教育・講演・セミナーについて

 当会では、学校などの教育機関における消費者教育、主権者教育、ワークルール教育などの法教育にも積極的に取り組んでいますし、自治体・社会福祉協議会・町内会・老人クラブ・病院等で開催される市民向け講座・生涯学習にも弁護士が伺い、出前講義を実施しています。詳しくは、こちらをご覧下さい。

8 会長声明の発信や人権活動について

 当会は、社会が抱える課題問題や立法・行政・司法などの各分野の制度に関して積極的に発信・提言する活動を行っています。詳しくは、こちらをご覧下さい。
 また、人権侵害をなくし、性の平等や子どもの権利を擁護する社会の実現に向け、様々な課題の解決に取り組んでいます。LGBTQ当事者や定住外国人の方への法的支援の拡充にも着手していきます。

9 最後に

 弁護士及び弁護士会は、少数者の人権を保障する最後の砦としての司法の一翼を担っています。山口県弁護士会は県民の皆様のお役に立てるよう今後も努力して参ります。


 




 

山口県弁護士会 2023(令和5)年度 役員一覧

  • 鶴

    第一副会長

    鶴 義勝

    TSURU
      YOSHIKATSU

  • 長谷川

    第二副会長

    長谷川健太郎

    HASEGAWA
        KENTARO

  • 山近

    第三副会長

    山近 繁之

    YAMACHIKA
       SHIGEYUKI

  • 岡田

    第四副会長

    岡田 卓司

    OKADA
         TAKUJI

  • 松田

    監事

    松田 弘子

    MATSUDA
         HIROKO