弁護士会について/About Yamaguchi Bar Association

決議・会長声明

谷間世代が被っている不公平の是正措置を求める会長声明

2018年(平成30年)5月29日
山口県弁護士会 会長 白石資朗

  最高裁は、本年1月、新65期司法修習生であった者に対して「年賦金等通知書」を送付した。修習期間中に貸与金を受給していたこれらの者は、本年7月25日から10年間の年賦で返還を開始することになる。
  日本国憲法のもと、1947(昭和22)年から開始された司法修習制度において、このような年賦の負担を課せられたのは、新65期から70期の司法修習生であった者だけである。今回、まずは新65期からの返還開始が始まったということである。
  司法改革の試行錯誤が続く中、旧制度下の65期までは司法修習生に給与が支給され、新制度下の71期以降は司法修習生に給付金が支給される。国が行なっている制度改革の試行錯誤のなか、制度の狭間で不公平な立場に置かれた世代という意味で、新65期から70期の司法修習生であった者は「谷間世代」といわれる。

  司法修習制度は、裁判官、検事及び弁護士といった法曹を養成する制度であるが、本来、法曹は社会にとって欠くことのできない重要なインフラである。例えば、えん罪についての種々の事件報道からもわかるとおり、誰もが無実の罪で有罪判決を受けるリスクを負っている。また、誰もが、事故による賠償、離婚・相続といった民事・家事の紛争に巻き込まれるリスクを負っている。わが国は法治国家であるから、種々の紛争は司法制度によって解決されるのであり、法曹は、国民が適正な裁判を受けることができるように司法制度を支えている存在である。
  だからこそ、国は、国民のために法曹を養成する責務を負っているのであり、国は司法修習生に対して修習に専念する義務を課して修習期間中の兼業を禁止した上で、給与(ないし給費)を支給する。

  ところが、谷間世代だけが給与(ないし給費)を受給することができずに、修習期間中、最高裁判所から貸与を受け、または、親族などから借り入れをしたり、貯金を切り崩したりすることを強いられた。
  もちろん、谷間世代もその前後の世代と同様、修習期間中に修習専念義務を課され、修習終了後は裁判官、検事又は弁護士といった各々の専門分野において司法制度を支えているのであって、谷間世代のみが、給与(ないし給費)の支給を受けることができないことを正当化する理由はなく、現在の制度は極めて不公平である。

  当会は、2017(平成29)年5月24日、「修習給付金を創設する改正裁判所法成立に当たっての会長声明」をもって、給費制の維持発展とともに、谷間世代に対する不公平な制度の是正を求めた。ところが、いまだ谷間世代に対する不公平な制度は是正されておらず、それどころか、冒頭に述べたとおり本年7月25日から年賦による返還が開始される。このような不公平は、直ちに改められるべきである。

  そこで、当会は、法務省、国会、最高裁判所に対し、谷間世代の全員に対して修習給付金相当額を一律支給する等、不平等をただちに是正する措置を講じるよう求めるとともに、当該是正措置がとられるまでの暫定的な措置として、谷間世代に対する貸与金の返還を猶予する措置を求める。


 
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