弁護士会について/About Yamaguchi Bar Association

弁護士会の活動


安全保障法制改定法案反対の市民集会 in 下関
2015(平成27)年8月9日(日)11時から下関にて、安全保障法制改定法案反対の市民集会が開催されました(主催:山口県弁護士会・同下関地区会)。集会には400名を超える方々が下関市内外から集まりました。リレートークとパレードで、「イケンちゃ 安保法案」のプラカードを掲げて、安保法案廃案を訴えました。
集会の最初と最後には、下関市民合唱団の方々が会場内に美しい歌声を響かせてくださいました。



山口県弁護士会の清水弘彦会長は、開会の挨拶で、下関の地から全国に発信し、法案が廃案になるまで、志を同じくする市民の方々と連帯して運動を展開することを訴えました。なお,山口県弁護士会では、本年6月10日に「安全保障法制改定法案に反対する会長声明」を、続いて8月4日には「衆議院が安全保障法制に関する法案を可決したことに抗議し,廃案にすることを求める会長声明」を発表しました。こちらもどうぞお読みください。
【安全保障法制改定法案に反対する会長声明】(2015.6.10)
【衆議院が安全保障法制に関する法案を可決したことに抗議し,廃案にすることを求める会長声明】(2015.8.4)

「弁護士は、現憲法の条文、精神を駆使して、基本的人権を擁護し社会正義実現に向けて行動するのです。」
「その憲法が今、危機に瀕しております。」
「今の内閣の憲法解釈変更によって、また、これを後押しするかのような国会の手によって、憲法が骨抜きにされようとしております。今の流れは実質的な憲法改正の動きと言ってもいいでしょう。」
「基本的人権の擁護者としての弁護士及び弁護士会としてこの動きに黙ってはおれません。その一念で、我々弁護士会は、現在参議院で審議されている安全保障法制改定法案に反対し、これらの法案を廃案にすべきと主張し、運動を展開しております。」


日弁連の内山新吾副会長(山口県弁護士会所属)は、立憲主義の危機を訴えました。

「憲法は,たとえ国会の多数決であっても決めてはならないことを定めています。」
「多数決であっても,戦争をするという最悪の人権侵害を決めることはできません。そういう憲法に政府はしばられる,それが立憲主義です。その立憲主義が踏みにじられようとしているから,全国で弁護士が立ち上がっているのです。」
「圧倒的な世論の力があれば,安保法案は必ず阻止できます。」


リレートークでは、児童文学作家の那須正幹さん、長門市の常正寺住職の高橋見性さん、下関市民劇場事務局長の藤田典子さんからスピーチをいただきました。


那須正幹さん(児童文学作家)のお話

「『絶対、戦争などしない』と叫んでも誰が信じますか。」
「憲法の死文化をどう食い止めるか、声を上げ続けていこうじゃないですか。」
「息の長いたたかいを頑張る出発点が今日です。」

高橋見性さん(常正寺住職)のお話

「首相の地元中の地元、長門市から駆けつけました。彼の実父・晋太郎氏は『憲法9条が一番大切』と、常々、若い者に言い聞かせていました。祖父・寛氏は大津聖人と呼ばれるほどの人で、あの戦前、戦争反対を通しました。」
「一念仏者として、戦争への道を開く今回の法案は許すことができません。」
「アンネフランクは、戦争は私たち1人1人の無関心から起こると言い遺しました。」

藤田典子さん(下関市民劇場事務局長)のお話

「私は憲法と同い年で、社会と人間の真実を描く演劇を通して学んできました。」
「考えるには規範がいります。私はそれが憲法だと思います。」
「映画監督の木下惠介さんはこう言い残しました。『せめて我々が平和憲法を守り抜かなければ、愚かな戦争で死んだ人たちの魂は、安らかに眠れません』。私も声をあげ続けます。」



集会に続き、パレードをしました。



なお,永山茂樹東海大学法科大学院教授からコメントをいただき,当日の集会で代読させていただきました。ご承諾の上、再掲載いたします。


永山茂樹東海大学法科大学院教授のコメント
 安保関連法案が国会に提出されたあと、法案は憲法違反であるとして反対する憲法研究者の声明を準備しました。2ヶ月間に235人の方が名前をよせてくれました。それから7月16日の衆議院における強行採決を受けて、再び声明を出しました。
 あたらしい方の声明は「安保関連法案は、憲法9条その他の憲法規範に反しており、その危険性がますます明らかになった。このことにかんがみて、法案のすみやかな廃案をかさねて強く求める」とうったえました。こちらも、賛同は10日あまりで200名を超えました。憲法研究者の社会的発信としては、いずれもこれまでにない数字になっています。
 政治的な動きから距離を置いてきた憲法研究者も協力してくれています。「改憲の是非は言わないが、強引な憲法解釈に基づいた法案には反対する」「立憲民主主義の破壊の中、しかもその審議が中継もされないような有様」など、メッセージを付記してくださる方も多数おられました。
 200名以上の憲法研究者が安保関連法案を違憲とみなしました。法案を合憲と考える憲法学者はほとんどいない。「たくさん対すこし」という多数決の問題なのではありません。それぞれが理屈として正しいとかんがえたこと、法律論として筋がとおっているとおもったことを、独立して主張する。それが憲法研究者の職業倫理です。そのような理屈と独立性を大事にする職業人の間で、結果として、圧倒的多数が法案を違憲と考えた。安保関連法案の違憲性がそれだけ明確であるからです。

 私たちがこの法案を違憲とみなす理由の一つに、集団的自衛権の問題があります。

 憲法9条は集団的自衛権の行使を禁止している、というのがこれまで政府のとってきた憲法解釈でした。昨年7月の閣議決定は結論を180度変えて,集団的自衛権の行使を容認しているとしました。憲法改正手続を迂回した事実上の改憲です。このような解釈改憲に基づいて,今回の安保関連法案は組み立てられています。
 ところで,国家権力の濫用を防ぐには,法律のことばの意味が明確でなくてはいけない,というのが法治国家の基本です。人によって理解がかわってしまうような法律は,法治国家を支える「法的安定性」を欠くもので,法律として失格です。とくに軍事力の行使については,濫用された場合のリスクが高いのですから,それを規制する法律の文言には,明確性が強く求められます。
 自衛隊が海外で集団的自衛権のために武力を行使できる条件,いわゆる「武力行使の新三要件」はどうでしょう。このうち第一要件には「わが国と密接な関係にある他国」が攻撃された場合,とあります。ところが一方で政府は,日本と経済的に密接な関係にある他国の脅威を強調している。このことは「我が国と密接な関係にある他国」という言葉が,法的なことばとしてあまり役に立たないことを示します。
 また第三要件には「必要最小限度の実力行使」とあります。相手の国のミサイル基地を攻撃することも必要最小限との実力行使に含まれるという政府答弁がありました。しかも地理的限界がまったくないのです。最小限度といいながら,実力行使の幅は際限なく広がり,地球の裏側でも活動するおそれすらあります。ですから「最小限度」ということばも,法的な力をともなっていない。
 いずれのことばも法律としては不明確すぎます。そうするとこの法律の運用は,事実上,政府の広い裁量にゆだねられることになります。国民も,国会も,行政権の濫用を防ぐことが期待できません。どういう場合に集団的自衛権のために武力を行使できるのか,そういう問題は,安保関連法案によって限定されていないからです。
 以上のようなことから,全国の憲法研究者は,集団的自衛権の行使を認めない憲法9条に違反すると指摘しています。多くの国民は,今国会での法案成立に対して反対しています。それにもかかわらず与党が衆院で法案を強行採決し可決したことは,憲法を軽視する行為です。民主主義を軽視する行為です。いずれの点でもきわめて乱暴な政治,異常な国会運営としかいいようがありません。私たち憲法研究者は,こういう見地から,この夏の国会審議を監視し続けていきます。
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